2018/10/11夜 ストーリー・オブ・マイ・ライフ(ネタバレあり)
新しい舞台セットに衣装に演出にキャスト!ついに日本ソムを見てきました!
この作品、大好きで大好きでこのブログのアイコンもSOMLなくらいなんですが、改めて日本語で見るとなかなか構成が複雑なことに気づいたので、自分用に改めて整理しながら書きたいと思います!
【知ってることを書くんだ】
黒いハットにコート、手にはスタバ的なカップを持って現れる平方トム。
昔アルヴィンと交わした約束を思い出す顔は、疲れて目も荒み気味。
絞り出すような「俺のせい?」や、「それしか知らない・・・」の力無く歌う感じ、アルの死に何かしらの心当たりがありそうです。
そこに少し困ったように眉毛を下げた微笑みで、トムを見つめながら登場するまりおアルヴィン。
【ミセス・レミントン】
アルは2人の出会いのエピソードを紹介しますが、トムは途中でこの話がアルヴィンの最後と関係ないと気づき、これじゃないと捨ててしまいます。
平方トムは大人時代も子供時代も基本的にノリが悪いので、途中話に参加してきたときはやったー!と思いましたが、ラストの出会う場面では、足元に座ってるであろう子どもアルヴィンを何とも言えない表情で見下ろしてました。
アルヴィンが自殺を疑う状況で死んでる以上、出会いの話を聞かされても困るのかな・・・!
【1876】
若干照れながらも、トムソーヤの素晴らしさを読書感想文として語るトム。
大昔に書かれたにも関わらず、読めば今もそこにトムソーヤが見えるような文章に、自分もいつかこんな物語を書けたらと夢見る。
後ろではまりおアル、途中までほっこり聞いてたのにトムの夢の話になると真顔(どうしてw)
当時を思い出し、いかにこの瞬間が自分の人生に影響を与えたかを興奮気味に書き進めるトムでしたが、ふとこれは自分自信の話だと気づき捨ててしまう。
「ちがうの?」と優しく問いかけるまりおアルヴィン。
【神様の偉大なる図書館】
朗読前から引用文に後ろめたそうな視線を落とす平方トム。
「僕は君に書いてって言ったんだ」と言うアルヴィンの言葉に耐えきれず逃げてしまう。
この後に入る1876リプライズ、作家になる夢についての曲を、他人の引用文しか用意できなかったタイミングでリプライズするのひどい!w
【バタフライ】
トムが朗読してくれるのを、手を横にぴーんと伸ばして小学生みたいな直立姿勢で待つまりおアル。
タイトルを聞くと「蝶々ー!?」とマッハで着席後全力待機。(推定精神年齢:小学3年生)
最初はゴミ呼ばわりしてた小説も、熱心に聞くアルヴィンを前に読んでたら心が入ってくる平方トム。
最後の大サビでトムの才能を確信したまりおアルは、悲しそうな顔でオロオロしてて、早くも脳内でトムとの別れをシュミレーションしてる模様。あまりにも脳内で何か繰り広げられてる顔をしてたので、もしかしたら最後の方聞いてないかもしれない。
しかしふと思い出したように願書用の封筒を手に取り、笑顔でトムに一言。
「送れば?」
その封筒を見つめてわなわなするトム。
「その瞬間・・・覚えてない・・・。」
(ここ、以前見た海外版だと「その瞬間、その時だったのか」とトムが気付くような歌詞だったので、 「覚えてない」だとかなり印象が変わります!でも覚えておく必要すら感じてなかった出来事にこの瞬間に気づいたっていう意味だと一緒かな?)
【帰省】
課題の小説が何も思い浮かばなかったトムが、外で遊ぶアルヴィンからインスピレーションを得る1曲。
曲が終わると、閃いた顔で紙に駆け寄り新作を書き始める平方トム。
しかし途中で詰まってしまい「スノーエンジェル」は完成しない。
【二回目のさよなら】
本屋の掃除をするまりおアル。ベルを聞いて嬉しそうに振り返るが、トムの横に立つサラに気づきうろたえる。(お母さんが帰ってきたと思ったら、知らない親戚のオッサンだったことに気づいた瞬間の幼稚園児みたいなリアクション)
一生懸命トムをおだてて「幸せそうで良かった!」っていうアルヴィン。しかしそれに対するトムの歌詞は「悲しそう」。
本心じゃないことをトムもわかってるところが切ない。
【独立記念日】
書類にサインもしないで、ぼんやり座ってるだけのまりおアル。
いつも1人でも楽しそうだったまりおアルが、トムから振られた「ベルが鳴るのは?」にのってこない異常事態!トムもウケない作家ジョークに自分でいたたまれなくなってる。
まりおアルはあんなキャラなので、彼にとって町を出るのがいかに大事件なのかよくわかります。ネクタイいるかとか、ウエストポーチ買ったとか、あわや何その発想って言われてもおかしくない大興奮が演技に見えない!
なのでトムに「来るな」って言われた時は、晴れの日に「遠足は中止です」って言われるくらいなんで?って顔してました。
早く連絡しちゃえば楽になるのに、ギリギリまで言えなくて1人悶絶してる平方アルもリアル。トムがアルヴィンを深く傷つけてしまった物語。
【そこには何もない】
額を手で抑えながら、つっかえつっかえスノーエンジェルを完成させようとする平方トム。ずっと苦痛の表情で、何も浮かばないまま何年も過ぎていきます。
その後ろでクリスマスツリーとイルミネーションを盛大に飾りつけるアルヴィン。(これからシリアスシーンしかないのに!w)
そして送られてくる何枚ものクリスマスカード。
1年に1度のクリスマスがどんどん過ぎていく間、アルヴィンに長らく1通も連絡をとっていなかったのが伺えます。
可愛い形のクリスマスカードがどんどん床に落ちていく。。
何をモデルにしてるのかわからないストーリーを書き続けることが出来ず、何も書けないと叫ぶトム。
一斉に点滅しだすクリスマスイルミネーション、混沌のエレクトリカルパレード状態!
今までの記憶と言い訳がゴチャゴチャに混ざっていくトムの脳内。
からのまりおアルヴィン、
デーン!!遅刻だよおおおおお!!!!(叫)
↑葬儀場全員に聞こえる勢い。
ついにトムはアルヴィンとの最後の思い出に対峙する。
【アルヴィンを見てなかった】
スランプで時間もなく、ほぼ引用文の弔辞を用意してきたトム。
お父さんを物語として残して欲しかったアルヴィンとしては、トムの言葉で書いてもらわないと意味がなかったわけですが、精神的に追い詰められてたトムは思わず「お前は必要なかった!」と言ってしまいます。
これが2人が最後に交わした会話。
まりおアルヴィンは結局自分で、いつもの明るい調子でお父さんについて語り始めます。
最初こそ出来るわけないとののしる平方トムでしたが、アルヴィンの話す物語が良いことを、涙を流しながら認めるしかなかったのでした。前から薄々気づいていたように。
【これがすべて】
これで物語は全部だというトム。
しかし弔辞を書けていない現状に「じゃあまだ終わってない」と真面目な顔でアルヴィンに言われ、泣きながら地面に落ちてる紙の山から最後の話を探そうとする(ここ、泣き始める瞬間の子供みたいに顔をグシャッとさせて、無言で這いつくばって探し始める平方トムが本当に神演技でした!!)
しかし最後の話はそこにはないと言われ、トムは「お前が俺に話せ!」と泣きながらアルヴィンにすがる。
しかし結局、トムはアルヴィンの最後を見ていない以上、アルヴィンの心を知ることはできないと言われる。そしてトムの中にあるアルヴィンとの思い出こそが、そのままアルヴィンの物語なのだと。
「はまらないピースもある」を聞いて、トムが今まで抱いてきたいろんな感情から解放されたようにブワッと目に涙が溢れてたのが印象的でした。
【雪の中の天使】
ずっと書けなかったスノーエンジェルの続きを、アルヴィンとの思い出で紡ぐと、一気に当時の光景が広がるように雪が降り始める。
アルヴィンの最後ばかりが気になって、「それしか知らない」と何も書き出せなかったトム。
ママの記憶が消えていくのを悲しみ、お父さんの思い出だけでも、いつまでも消えない物語としてトムに残して欲しかったアルヴィン。
「本はただの文字だと思ってた。でもトムソーヤが現れたんだ。書かれた文字は煙のようには消えない。時を超えてどこまでも旅をする。」
日常に忙殺されて夢を見失っていたトムに、それを思い出させてくれたアルヴィン。
アルヴィンとの思い出を物語として残すことで
トムは夢を叶えて
アルヴィンは消えずにいつでも当時の姿で現れてくれる。
トムは手帳を閉じ、彼が知ってるアルヴィンの物語を語り始めたのでした。
【感想】
がぁぁ、良いSOMLでした!
作家の立ち往生どころか人生の立ち往生してしまった平方トムを、天使になったアルヴィンが助けに来てくれたような。
これでトムがまたアルヴィンとの思い出をベースにした物語をたくさん書いて、世界の読者が昔のトムのようにそれに影響されるなら、まさにアルヴィンは蝶ですね!
日本語版を聞いて感じたのは、今まで特に何も感じずスルーしてた曲で、いいなと初めて気づいた曲がいくつかありました!「ここが好き」の、変化には痛みを伴うからこのままじゃだめかな?みたいな歌詞になるほどと思ったり。
逆に気になったのは、文字数の関係で結構重要な歌詞が落ちてしまってるところがあって、特に雪の天使たちが何のことを歌ってるのか掴むのが難しかったところでしょうか。
海外版だと「自分の物語を持った数千の天使たちが、数千の物語で1つの歌を歌う」という歌詞があって、1人の人生はたくさんの思い出で彩られてて、どこを切り取ってもその人が生きた軌跡ってことなのかな〜と理解の足がかりになってたのですが・・・!でもどう頑張っても日本語だと字数的に入らないのでしょうがないですね!
SOMLを見ると久々に仲良しだった同級生に連絡してみようかなとか、久しく会ってないおばあちゃんとご飯に行こうかなとか、少し疎遠になってる人に会いたくなります。
そんな日常とリンクする暖かさが、この作品の持ってる特別なパワーだと思います。