国際線第99ターミナル

国際線第99ターミナル

日本と韓国のミュージカル観劇あれこれ

2012/10/23 JCS初日レポ

初日行ってきました!
劇場を入ってすぐのドアから、壁と間違えるような荒野を見るあの瞬間がたまらんです。

懐かしのパパパー音で開幕する2012年版JCS。
低く響くオーバーチュアに浮かび上がる群集、バッチリ気持ち悪い!(ガッツポーズ)
大の大人が地面にベッタリ張り付いたままウゴウゴしている、この初っぱなから常軌を逸しすぎてる感じはジーザス以外じゃなかなか味わえません。
そしたついにジー(2012ver)降臨!どういうことかすでに神々しい!(でも目は死んでる)
続くように登場するユダの上目づかいの睨み付けにほとばしる緊張感。
そのままユダチクタイム(ユダチクチクタイム)が始まりますが、今日はそこまで激しくなく、辛うじて痛みを堪えられてる感じでした。

【彼らの心は天国へ】
震えてるのに力強い、矛盾の定義を破壊しかねないスンラユダのハスキーボイス。
全体的に落ち着いて、「天国を夢見すぎたのだー♪」では前回語尾がシャウトだったところを低く下げて「私らが度を過ごしすぎたのだ♪」と同じ音程に。
レアバージョン!と思いつつも、絶叫シャウトも好きだったので今回だけのアレンジなのか本公演全部この音程でいくのかが気になるところです。
うん、今回のユダはこれまでになく冷静なユダだった。
ちなみにユダが歌ってる最中にシモンが、導火線に火付けたロケット花火のように前のめりでユラユラジリジリしてたので、いつか飛び出すんじゃないかハラハラしました。

【なにが起きるのか教えたまへ&香油の歌】
ガックリ上手端でうなだれるユダ、ジーザスの第一声まで動かないのですが、身体どころか指一本も動かない放心状態っぷり。
高木マリアの高音は一音もブレず、ユダに咎められてからジーザスの言葉に感激するまでの表情描写が、絶妙タイミングのまばたきに息を飲んだり細かい。神としてではない、等身大のジーザスを愛してくれてる高木マリアのウルかわ困り顔は、ジーザスにとってどれだけのヒーリング効果があるんでしょうか。

ユダの「彼らをまず救うことが何よりも大事なのだ」に何故かガッカリするシモン。なんでガッカリするのw

【死すべし&ホサナ】
金本カヤパ様を待ち焦がれすぎて禿げてまた生えたくらい楽しみにしてたのですが、あのまろやかなビブラートがかかった低音を今すぐ世界遺産に申請しなければいけないんじゃないかとのたうち回ってるうちに私の心は天国へしました。※死因:カヤパ様の安定感ありすぎる心地よい癒しのフレミングビブラート
これまた期待のワイスアンナスは元々の声が高く、最高音パートで更に高く音を外すというファンキーっぷり。
最後のジーザスは死ねえ~の決め顔では、バリサイ人がすごく悪そうな顔で凄まじくシャクレてました。

そのまま5回転くらいして群集に紛れ込むバリサイ人。
それを眉間に皺刻みまくって確認するカヤパ様。
ジーザスは司祭にどや顔をするわけでもなく、漠然と前を見てほがらかにホサナ。
芝さんの歌ってゲッセマネみたいに盛り上がりがある歌はもちろんですが、こういう平坦な曲でこそ安定感がすごいというか、本当に上手い!

【狂信者シモン】
なんだかご満悦な表情でおみこしされる芝ジー
口を閉じて微笑みながら担がれるその姿は
ニャンちゅうに似ていた。(しかし目は死んでいる)
シモンの歌は初日だからかアレンジもなく平和。
群集の走りもまだまだブレーキが効いてる感じで、まろやかなシモンナンバーでした。

【市場】
今回見た群集は市場入場時からひたすら買い物に迷い続け、とりあえず片っ端から手に取るけど買わず、片っ端から試食するけど買わず、かといって盗みをするわけでもなく、大変優柔不断な群集でした。
その後のジー大滑走に驚きすぎて、盛大にズッコケた衝撃が客席まで伝わってきた。

【みてください】
去年は結構長く仏フェイスを保っていたものの、揉みくちゃにされてどんどん顔が酸っぱくなる芝ジー
ここでも群集は安全運転気味で、流れるプールを思わせる回転具合。
しかしジーザスへのプッシュはなかなか強いらしく、もしかして芝ジーは通勤ラッシュピーク時の山手線内にいるんじゃないかという錯覚を受けるような必死な形相でバランスをとってました。

【裏切り】
出てきたと思ったら、何かに取り憑かれたみたいに目線も足元もフラフラユダ。大丈夫かー!
金森ユダのしゃがみと立ち上がりと後ずさりアクションの組み合わせ、間の取り方の上手さはもはや神。
銀貨受け取り拒否シーンでは、アンナスの強すぎる腕力にユダが全体重を後ろにかけて抵抗した結果、アンナスの肩にユダがめり込んでました。
今日は上半身を捻って逃げようとしたり拒否度がかなり高かった!(と思う)
ジーザスの居場所を伝えた後、自虐的に小さく笑って突っ伏すユダの、お小遣い袋を握った手がブルブル震えてました。
その後一度正気に戻って銀貨を受け取った現実に気づくんですが、銀貨を精一杯遠ざけて倒れるときの顔が、疲れ果てて気絶したようで本当にいたたまれなさすぎた。

【最後の晩餐】
最後の晩餐では、使徒サークルのどまんなかを陣取るシモンが面白すぎて大変!
ジーザスの「私のことを思い出すだろう♪」に対して、「はぁ??意味分からん」という風にやれやれと首を振ってパンの続きを食べ始めるシモン。ナチュラルにひどい。
そして大騒ぎする使徒達の中、何故か自ら渦中に飛び込んで揉みくちゃに。何やってんだw

ジーザスとユダの掛け合いは比較的サッパリ目(特にジーザス)で、サァー!の高音もいつもより2トーンくらい低め。
今日は上手の席だったのですが、この角度は晩餐が本当に映画チックな構図で見ることができまして、歯を食いしばってうなだれるジーザス越しにユダが倒れている図は、念写して額にいれて飾りたいくらいの神アングルでした。
最後ジーザスににじり寄るユダの表情もよく見えるんですが、ジーザスに拒否された瞬間に、ユダが本当に理解ができない的な、こう片方の眉毛にぐっと力を入れて目を微妙に細めて「・・・ええっ!?」っていう、というか本当に「ええっ!?」って言ってたんですけど、本気で傷ついたようなリアクションで、あまりのリアルさに本日の心の傷MVPになりました。

ゲッセマネ
今日は芝ジーの裏声が全体的に不調でひっくり返ったりもしましたが、低音と伸ばしはいつも通り迫力満点で、死にざまの伸ばしもブレなしのパーフェクト。
殺すなら今だ!なんてドスが効き過ぎてて確実にこっちが殺される感じ。
こんなに動かないのに客席をヘビに睨まれたカエル状態にできる歌を歌える芝ジーすごい!

【裏切りのキス】
ユダ渾身のハグ。
しかし強く抱きしめすぎてジーザスの左ほっぺが伸びきってカレーパンマン状態。
そしてゲッセマネ終了後からユダが離れるまで表情が一度も変わらない能面のような微笑。こわい!
その後群集に虐げられるジーザスを離れた場所から身を乗り出して見ているユダは、まるで溺れてる豆柴を見てることしかできないかなづちの子供みたいでした。(ひどい表現)
この未練ありまくりな感じがこの後の自殺につながっていくのかと思うと、ちょっとしたユダの表情や動作も見でらでまぜんんん・・・!

【ヘロデ】
これ以上ないほどカオスな下村ヘロデ。
パンツ丸見えだわワインカップは投げるわ変顔連発するわである意味ジーザスより神様っぽかったかもしれない。
間奏のワカドゥーなんて「ワカドゥーwwwワカwwwドゥーwwwwwwワwwwカwwwドゥーwwwワァ~wwwwww」とまさにキングの貫録溢れるディスり具合。
しかも「やれぃ♪ユダヤのキング♪」の後の沈黙でいきなり「フェー?」的な変な声を出したのであやうく噴出するところでした。
これだけフリーダムなのに、絶対安定な歌と新体操ばりの華麗なるローブさばきで魅了してくれる下村ヘロデ、あなたキングだよ!(誰だよ)
最後は椅子の上で横にバタンキューしたところで暗転。
一瞬何の演目を見てるのか忘れるくらいの濃厚ショッキングタイムでした。

 【自殺】
明るくなったと思うや否や、すごい勢いでユダが転がってきたあげく盛大にワンバウンド→からの歌いだし(すごすぎ)
司祭さん突き飛ばす位置上すぎ!上すぎー!!いくらユダでも死んじゃう!
その後金森ユダは四つん這いで地面を猛スピードでバックしていて、こんな動きをする人間は後にも先にも金森ユダだけだろうと思いました。
でもこの必死感がまたいいんですよね!声はかっすかすで、歌ってるのと叫んでるのが紙一重な感じ。
笑ってた1秒後には真顔になってるしで、完全にもう限界!
笑ってるのか叫んでるのかよくわからないまま右上の岩場まで走って行くものの、直前で思いっきりコケた!と思ったらそのままマイゴー!って転がってきたり、もうどんな顔して見ればいいのかわからず冷や汗だらだらでした。
どんな精神状態でこんな・・・!このシーンまで今回のユダは大人しいな~と思ってたくらいなので、いきなりの狂気状態にかなりビビりました。

【ムチ打ち】

群衆の石投げが本気すぎて、1発目がワンバンでピラトに当たったあげく、2発目よけなかったら顔面に直撃してたんじゃないかというデンジャラス加減。なんだか群衆のテンションがここで一気にきたかもしれない!
鞭打ち後、放り投げられたジーザスのスカートが案の定めくれてしまい、さりげなく自分で戻しつつもどうしてもひざ下までスカートが下りず、放置かなと思っていた矢先、隣にいた青山鞭打ち人が

re1.png
ジーザスの方を1度も見ずに

走り出しがてらさりげなく

re2_20121024002959.png
素早くサッとスカートを直して

 

re3.png
走り去った。

し・・・
し・・・
し・・・
紳士!!

JCSという舞台上で「親切」を見る機会がなさすぎるため、大変心に残ったワンシーンでした。

【スーパースター&磔】
今日は心ここにありでコントロールの効いたかっこいいスーパースター。
スーパースター衣装のブーツがハイヒールだったことが今日の発見。
磔では血がいつもに増してボタボタで、ピラトが手に付ける血糊もそうですが、結構リアルな配色でグロいんですよね。しかし芝ジーは完全に悟りを開ききったのか、とても穏やかにお亡くなりになりました。
今日のジーザスのサッパリ感は一体・・・?

ということで長----------。
1年ぶりにJCSを見れたことが嬉しすぎて床を転げまわる気分でこんなにドン引きな長さになってしまった。
ジーのさっぱり風味も斬新でしたが、群衆の後半にかけての過熱具合は良かったですし、ユダの期待の裏切らなさは鉄壁ですし、これから年末にかけてどう変化していくのか本当に楽しみです。