国際線第99ターミナル

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日本と韓国のミュージカル観劇あれこれ

2017/6/18マチネ INTERVIEW

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僕じゃない僕が、僕の人生を生きている。

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ユジン→ピルソクさん

シンクレア→ヨンギュさん

ジョアン→ギョンアさん

昨年、京都劇場世界初演をむかえたINTERVIEWを観てきました。

赤の他人だと思っていた2人が、突如10年前に起きた殺人事件の真相をめぐり繰り広げるミステリー&サスペンス作品。

2016年の京都・大学路と、地味に今回で3回目の観劇です。

ずっと書きたかったのですが、非常にネタバレラインがシビアな演目でして・・・!

本記事でもネタバレレベルを3段階にわけてみました。

レベル1→チラシのあらすじに載ってる内容

レベル2→中盤くらいまでの内容

レベル3→真相

ただ正直なところ、チラシのあらすじの時点で相当ネタバレてるので(爆)真っ白な状態で観劇されたい方は、公式含め何も見ないことをオススメします!

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【あらすじ】

揺れるドレスを着て、水に浸り息絶えていた少女。

ベストセラー小説「人形の死」の被害者と同様の姿で、女性が次々と殺害される「オフィーリア殺人事件」が世間を騒がせていた。

ある日、「人形の死」の著者ユージンの元に、アシスタント志望の青年シンクレアが訪ねてくる。

面接という名のインタビューを重ねていくにつれ、明らかになる真実とは?

ユージンとシンクレア、果たして2人と事件の関係は?

何もわからない状態から全体像に迫っていくドキドキ感、目まぐるしく入れ替わる2人の立場に、思わず「お前誰だーー!!」と叫びたくなること間違いなし!

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ちなみにたどり着く真相は\鬱のバラエティーパックやー!!/状態の、かの胸糞作品として名高いブラメリを上回るエグさなため、観終わった後は清々しいほどに気分最低です。

でも、舞台においては観劇後の気分最低は必ずしも悪い意味じゃないですからね!w

ということで物語序盤はアシスタント面接に訪れたユージンとシンクレアのやりとりが中心になります。

追記よりネタバレレベル2に入ります!

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ある程度面接が進むと、突如シンクレアが豹変し、ユージンが姉を殺した真犯人ではないかと迫りはじめます。

本名はマットであると言う彼は、ユージンこそかつて容疑者にあがっていたシンクレア・ゴードンだと信じて疑わない。しかしユージンは、そんな彼に本物のシンクレアの死亡現場写真をたたきつける。

シンクレアゴードンは死んでいるのか?そもそもどうしてこの写真をユージンが持っているのか?

混乱の末、またしても豹変したマットは、今までとガラリと変わった口調と態度で話し始める。

次々と変わるマットの人格に、ユージンは驚きながらも、真相を知るためにインタビューを続けていく。

↓ここから全ネタバレです↓

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真相は上の図のとおり、今までのやりとりは催眠療法による殺人犯の精神鑑定を行っている現場だったというわけです。

この作品、典型的なTHE・2回目からが本番作品で、真相を知ったうえでもう1度見てみると、序盤からユージン先生がシンクレアをよく観察しながら会話してるのがわかります。1回目はやたらと首突っ込んでくる変なおっさんにしか見えなかったのに!(変な言うな)

ピルユジン先生は相手が立ってれば立ち、かがみこんでたら一緒にかがみこみ、どの人格にも目線を同じ高さに合わせて一生懸命話そうとする先生でした。

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恐がるウッディに声かけながらチョビチョビ距離を縮めていく先生。

ジミーの扱いも上手くて

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資料投げられても「あららー」とおどけた顔するだけ。

命令されたコーヒーも「はいはいできましたよー」とそ~っとテーブルに置き、プロのパシり感あるふるまいでジミーに気に入られ、最終的に意気投合

怒らずペースも乱されず、ジミーに合わせた返しをしてて、さすが精神科医

ヨンギュマットは、人懐っこいクリクリした表情を浮かべる純粋無垢なマットで、まさかここまで辛い過去を背負ってるとは1ミクロンも想像できないところが、多重人格という設定にリアリティーを生み出してました。

別人格たちもそれぞれマットを辛い過去から切り離すための役割を持ってる感じで、とにかく守られてる印象が強かったです。

その分、マットがマットとして姉を殺すという最悪の出来事に直面したときの怒り、動揺、悲しみが激しく

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死んだジョアンを抱きしめながらの大泣きは、演技の枠を超えてて見てられなかったよおお!

ジョアンに裏切られた後は完全にキレて我を忘れてる感じだったので、死体を見て初めて自分のやったことに気付いたのか、座り込んで声を上げて泣き続けてました。

ギョンアジョアンはやってることはひどいんですけど、そんな行動に出るようになってしまった背景も丁寧に表現していたので、やたらと感情移入してしまいました。

叩かれて泣き叫んでるシーンがあまりにも可哀想すぎて、今まで「シンクレア役の演技力が見どころの作品」だと思ってたインタビューが、「社会問題提起作品」にイメージ一変したよ!

そしてそれを見るピルユジン先生の顔が

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あまりにも観客の心情を代弁しててちょっと笑いました。

金縛りにあったみたいにピクリともせず、目だけで2人の顔を交互に見る先生。口半開き。

マットがジョアンに手をかけるところでは、思わず顔を押さえて目をそらしてしまう。

精神科医も見てられない光景に客が耐えられるわけがないのだった。(死亡)

催眠術を利用した精神鑑定から戻ってきたユージン先生。

ここで衝撃の新設定、先生の娘もオフィーリア殺人事件の被害者だったことが判明。

ちょ!捜査班鬼畜か!www

「お嬢さんを殺害した犯人ですが、治療は可能だと思いますか?」とKYに声をかける判事に、なんともさびしい表情で振り向くピルユジン先生。

何もしゃべらず、困ったような顔で判事たちの目を交互に見て、無言のまま帰路につく。

ゆっくりと机の上を片付け、力が抜けたように椅子に座り込み、部屋の片隅にある積み木を悲しげに眺める。

今までは患者を治すという使命感で、どの人格にも優しく丁寧に全力で向き合うお医者さんでしたが、今ここに座ってるのは娘を亡くして途方に暮れてる父親の姿で。ああ、これが本当のユージン先生なのかなと思いました。

最後の最後、初めてみる表情に、ユージン先生もまた1つの人格を犠牲にして生きてるのかもしれないと、遺書の歌詞を思い出したのでした。

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暗いよー!!笑

この日は本当に神公演で、カーテンコールに入るや否や観客がはじけるように立ち上がりスタオベ。

その景色に感極まったヨンギュさんが思わず涙ぐんで十字を切るという、大変あったかいカーテンコールでした。

ギョンアさんと抱き合ってから、ピル先生に「ありがとうございました」と後輩丸出しなお辞儀をして「なんで!?www」と驚かれるヨンギュさん。

えーん本当に良かった!ヨンギュシンクレア、とんだダークホースでした!

終演後トイレに並んでる人が全員べそべそ泣いてて一体感半端なかったです。

インタビューは設定が非現実的で、なかなかとっつきにくく感じますが、実は実在する「ビリー・ミリガン事件」という解離性同一障害の犯人の記録に

・苦痛を管理する幼い男児の人格

・憎悪を管理する荒っぽい男の人格

・誰が表に出るかを管理するリーダー的人格etc

という人格が登場するので、あながちぶっとんだ設定でもなさそうです。(!!!)

アルジャーノンに花束を」の作者の本で「24人のビリーミリガン」という作品がありますので、暇つぶしに読んでみるとまたインタビューの印象も変わるかもしれません!(お察しの通り、マットをはるかに上回る24人格に分裂してます)(絶望)

ちなみにインタビュー、英語版では役名がユージン・ハーパーとマット・ベヴィントンになってたのですが、もし日本版になったらユージン田中とマット佐藤とかになるのかな!?(ならないね!!)