国際線第99ターミナル

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日本と韓国のミュージカル観劇あれこれ

2012/2 壁抜け男レポ

人生は最高!人生は素敵!な壁抜け男を見てきました。
ストーリーのネタバレがありますので未見の方はお気をつけ下さいー!

今回初壁抜け男だったのですが、個人的な印象は壁抜けの能力を手に入れた男が、平凡な日々を送るモンマントル人々に「生きる喜び」をお届けする!・・・というたてまえのホラーでした(笑)
いえ、ホラーではないんですけどオチがなかなか怖いです。
本当に平凡な人生を送っていて、壁抜けの能力も望んで手に入れたわけでもないのにあの結末は可哀想すぎる!
最後に壁を抜けようとする前に響く精神科の歌リプライズが不気味すぎてトリハダぼつぼつでした。
まさか生きたまま壁の中に閉じ込められるとは・・・!

といっても悲劇は最後だけで、ミュージカル全体としては様々な人の平凡な日常を楽しい歌にのせて見せていくという、ブラックな笑いをふんだんに取り込んだオシャレなミュージカルでした。
ストーリーもそんな日常的なシーンの連続なので特に大きい起承転結はなく、流れるように最後まで進みます。サザエさん的な感じです。(ちがくない?)
しかしそのモンマントルの人々がこれまた個性派揃いで、自称暇人の公務員・ワイロ貰ってる警官・受け持った事件の内容がサッパリ把握できてない弁護士などなど、これはひどい!と思いつつ、なんだかこういう人見たことある気がするwという、キャッツ的な楽しみが。
登場人物全員に自己紹介的な歌があるので感覚的にもキャッツに似てるかもしれない・・・!
曲は歌いあげるタイプの歌というより、セリフに歌をつけた風の音が1つ1つ細切れの曲が多く、今までビーストやグロールタイガーなど伸びのある持ち歌が多かった飯田さんとしては新鮮な曲風でした。

主人公のデュティユルは郵政局に勤めるどこにでもいそうな普通の役人とみせかけてかなりのふしぎちゃんです。
真面目で優しそうな雰囲気がとてもはまっていた飯田デュティユル、序盤で家が停電してグチをこぼしまくるのですが、その内容が

暗くて花に水がやれない

でもやる

間違ってるところに水をあててる気がする

床がビチャビチャ~♪

これを全部曲に乗せて歌います。というか壁抜け男は全体的にこんな感じで進行していきます。
しかし停電で心配することが花の水やりで、しかもそれでも実行して失敗するとは・・・やっぱり平凡な役人じゃない!ふしぎちゃんだ!
そしてそのまま何故かノリで壁抜けができるようになります(どーん)
まさに突っ込んだら負け系ミュージカル!
唐突すぎる展開に焦りまくるデュティユル、シラフなのに!と繰り返しながら最終的に「パヤパヤクルクルパ~~♪」と歌いながら精神科へ直行。
その後でた診断によると、壁抜けの能力は「憂鬱躁鬱分裂フロイドケロイド甲状腺山手線リビドーコンプレックス」という病気らしいです。

他にも初めてパンを盗むとき、パンを掴んだ後にやっぱりやめようか迷い「でもパンに指紋ついちゃったし・・・」と怖気づくデュティユル。
パンに指紋・・・?
と、ちょっぴり天然で明るいデュティユルの曲は明るいものばかりで、踊りながら楽しそうに歌うので、どの曲も聞いてて大変ハッピーな気持ちになれました。1人で飛んだり跳ねたりハシャぎまくってるデュティユルが本当に楽しそうで、壁抜け讃歌という曲がすごく良かったです。

全体的にのほほんとした、今まで見たことのないタイプのミュージカルでした。
曲も派手なナンバーはないものの、ジワジワくる曲が結構あったので是非もう1回見たい!
飯田デュティユルはピュアで、踊りもいい意味で上手すぎず(笑)楽しい感じが役に合っていて良かったです。

~~おまけ~~
全編通して金本カヤパ様(公務員)がでてましてですね!
カヤパ様は公務員であり警官でありパン屋でもある。色んな系統の歌が一気に聞ける。
よく考えたら主人公もカヤパ様だし、まさにカヤパパラダイスでした!!

 

<終>