国際線第99ターミナル

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日本と韓国のミュージカル観劇あれこれ

2013/5/16 桃次郎の冒険 茅ヶ崎公演レポ

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まさかお供に銃突き付けて仲間にするとは思わなかった。

ジョン万次郎に引き続き、ファミリーミュージカル「桃次郎の冒険」を見てきました。
健全ピュアミュージカルだー!と意気込んで行ったら、まさかのゲスい系ミュージカルだったという。
いい意味で裏切られた・・・!ゲスい系、キライじゃない・・・!
とにかくツッコミどころ満載で、子供と大人では感想が180度相違しそうな面白ミュージカルでした。

簡単なあらすじは
「かの有名な“桃太郎”の鬼退治により、家族も財産も亡くした生き残りの鬼達が極貧生活を送る“鬼が島”へ桃次郎が行く
という、設定という名の盛大な出オチ。
その発想はなかった・・・そうか、確かに桃太郎が退治した鬼にも家族が・・・ってねえええwww
本作では鬼サイドを純粋無垢な存在として描いているため、おじいさんおばあさんが金の亡者になってたり、猿キジ犬がチンピラ化してたりと、従来の登場人物がとことんゲス化されてます。
このような「桃次郎の冒険」というタイトルからは1ミクロンも想像できなかった設定に、開演前から好奇心ボルテージMAXにならざるをえません。

以下ピュアな鬼達よりも、おじいさんおばあさんサイドに親近感を覚えてしまった汚い大人の感想になります。
予想外の展開がたくさんあったので、各ポイントごとに・・・!

●予想外ポイント①● 
【桃次郎は桃太郎の血縁者ではない】
桃次郎なのに!と思ったら本名は桃山次郎というそうです。
というのも桃次郎の冒険は、こんな世界よくない!?YOUいっちゃいなYO!ノリでよくわからないまま当たり前のようにお話が始まり当たり前のように進んでいく、夢醒めと同様の「無関係者参加型ストーリー」だったので、突っ込むだけ野暮というやつでした。
ちなみに桃三郎は桃次郎の実の弟です。桃山太郎さん不在のためややこしくなっております。

●予想外ポイント②● 
【犬・猿・キジが落ちぶれている】

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桃太郎と活躍した輝かしい日々は遥か昔、すさみにすさんだ元お供達。
流行りの過ぎた芸能人のような雰囲気が脅威のリアリティー。
このお供達ですが、作中で何をしたかというと
・キビダンゴ強奪
・食い逃げ未遂
・桃次郎追いはぎ
・「桃太郎には俺たちがついていったから、もし1人で鬼退治に行ったらお前は桃太郎よりすごいよ!」とかなんとか言って桃次郎を騙して仲間にならない。
この3匹が仲間にならないとは思わなかった(笑)
以上のように近年稀にみるゲスさでしたが、ギャグのテンポが最高で久々に素で噴き出しました。
でもよくよく考えたら昔の桃太郎の仲間こそよくキビダンゴ1個で仲間になったよなって話ですよね!(ゲス)

●予想外ポイント③●
【人間も鬼になれる】
鬼が島にあるフルーツを食べると頭にツノが生えて鬼になれます。
1幕最後にウッカリ食べてしまった桃太郎が、2幕開始早々鬼としてのセカンドライフを楽しんでいるという展開には盛大にズッコケましたが、ツノさえあれば鬼の仲間として認められるようです。
しかも削ればとれます。内部からはえてるんじゃないの!?笑

●予想外ポイント④●
【桃三郎の乱入】
2幕後半から乱入してくる弟の桃三郎。
今回桃三郎だった横井さんのセリフを初めて聞いたのですが、声が名探偵コナンにでてくるゲンタ君そっくりで(笑)、まさにガキ大将という感じでした。人の話を聞け!w
そんな桃三郎は、銃で猿・犬・キジを脅して仲間に加え鬼が島へ向かいます。
お供に銃を突きつけながら歩く光景はファミミュとして完全にアウトでしたが、個人的にこういうシュールな展開は大好きです。

●予想外ポイント⑤●
【ヒロイン射殺】
桃三郎やっちゃったNE!
鬼たちと桃三郎の対立、その戦いを捨て身で止めるヒロイン!しかしそれをまさかの射殺!!
あまりの超展開に唖然呆然、この茶番感どこかで味わったことあるなあと思ったらあれですよ!ラブネバ!笑
おそらくこのシーンは鬼達に感情移入していればかなりの感動シーンなんだろうと思いますが、いかんせんピュアな心を失った私は全力で突っ込みに走ってしまいました。お供達は前回桃太郎と鬼退治したくせに何でしんみりしてるんだ!w
人間でも鬼でも争う必要なんてない、戦いをやめようと言って死んでいくすももちゃん。
お地蔵様としてこれから生きなければならないスモモちゃんを思うと後味が・・・
桃三郎もこれからこの罪を背負って生きていくのかと思うと後味が・・・(そういうミュージカルじゃないから)
しかしこのシーンで、鬼・人間のどっち側にもつけずに葛藤する石毛桃次郎の表情がとても良かったです!
決断できずにさくらんぼに責められるシーンで、涙目で思わず口が笑ってしまってる石毛桃次郎の助けてほしい感が切実でゾクッとしました。
あと桃太郎に親を殺されたさくらんぼちゃんの熱演もすごかったですね!嗚咽が!
1人で他の鬼全員分以上の憎悪感をかもしだしてました。
ただあまりにも熱演すぎて他の鬼達から浮いちゃってたのがもったいなかったw

桃次郎、一言で表すなら「子供向けの純粋な部分と大人向けのシニカルな部分がはじきあってまったく調和しなかった系ミュージカル」でしたが、このハチャメチャ感結構好きでした!ただゲスすぎるので好き嫌いは分かれそうな感じがしますw
話はなかなかの茶番でしたが(こら)、もしまた自由劇場あたりで公演があったら行きたいと思う演目でした。
すっかり桃三郎のファンになったので、色んな桃三郎が見たいw