国際線第99ターミナル

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日本と韓国のミュージカル観劇あれこれ

2015/3/28サリエル上映会

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物語はサリエルが自殺未遂をするところから始まります。
街は彼がモーツァルトを殺したという噂でもちきり。
病院で半狂乱になったサリエルに、妻が言います。
「あなたは彼(モーツァルト)の曲が大好きだったじゃない」

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ミュージカル「サリエル」字幕付上映会に行ってきました!
演じる側からは声帯破壊ミュージカルと言われているらしく、そこまで地声で行っちゃう!?というような音域の曲オンパレード&本物のモーツァルト曲がそのまま組み込まれてるナンバーなんかもあったりして、楽曲から伝わってくるエネルギーがすごいです!さすが音楽がテーマなだけある!
ストーリーは、見えない何かに怯え続けるサリエルが、どうしてこうなってしまったのかを回想と共に追っていくという構成。
見終わって改めて振り返ると、あれだけ人望があって真面目な努力家だったサリエル先生が、会話すらまともに出来ない姿になってしまったのが悲しすぎます。
才能という言葉の残酷さを感じるミュージカルでした。

冒頭の病院から、サリエルの意識はかつての輝かしい日々へ。
宮廷楽長で名教育家、ステータスもさることながら、このミュージカルのサリエル先生は真面目で優しく好感度が高い!
実力があるのに「私には才能がないから・・・」と自信が持てない生徒を、努力すれば大丈夫だと親身になって励ましたり、超いい先生。

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(努力は韓国語でもドリョクだった。)
このシーンの直後、実はサリエル先生は彼女のことを好きだったという事実が発覚するも、「妻がいるのに浮気だめ!(><)」と自制ソングを高らかに歌い上げ、気持ちを心にしまいこむ真面目っぷり。

しかしモーツァルトの出現により、自らの嫉妬心と戦う日々を強いられることになります。
モーツァルトも別に悪いやつではないんですよ。壊滅的に空気が読めないだけで。
勝手にサリエルの曲をアレンジして「怒ってる!?ねえ怒ってる!?そんな顔してるよ〜!(><)(汗)」とか無邪気に聞いてくるタチの悪いKY。しかも明らかにアレンジ後の方がいいという悲劇(TOT)w
センス抜群の即興曲で喝采を浴びるモーツァルトにうろたえるサリエル先生の傍ら、ここで初めて舞台上にジェラスという男があらわれます。
なんの前触れもなく無言で登場するところとか、自然に湧き上がってくる嫉妬の感情を上手く表現してるな〜!と思いました。
面白いのがジェラスは自らをサリエルのファンだと言って正体を明かさないんですよね。サリエルも今まで嫉妬なんて感情とは無縁だったのか、彼を全然知らない赤の他人だと思ってるし。(赤の他人は勝手に家に侵入してこないけどね!)
ひょんなことから王様にささげる新曲をかけてモーツァルトと競うことになるのですが、ジェラスは
「断っちゃえば良かったのに。先生みたいな偉大な音楽家が相手する筋合いはない」とか「あなたはこんなに悩んでるけど、向こうは意識すらしてませんよ!」
などなど、人の心をブスブス刺すようなことを言ってきます。
ジェラス役の俳優さんが「ジェラスがやっていることは結局のところサリエルがやっていることだと思ってもらえればわかりやすいと思う」と話していたので、ジェラスはサリエルの嫉妬心と自分を肯定したい自尊心で構成されてるのかなと思いました。1人の人間の内面でありつつも、特定の感情を別人格として存在させることによってジェラス(嫉妬、自尊心)VSサリエル(劣等感、謙虚で真面目)の対立と葛藤、押しつぶされてく様子が視覚的にわかりやすくて面白かったです。

ジェラスが出現してからというものの、みるみる心に余裕がなくなっていくサリエル先生。
例えばあんなに堂々と歌ってた努力はんだみょ〜んのリプライズが短調になってる。努力じゃどうにもならない感はんぱない。
作曲時も「神よ!どうかあなたのメロディーをお聞かせください・・・!」と必死の神頼み。
それを聞いて脇の下から手を差し込みピアノを弾きはじめるジェラス。(嫉妬だけにベトベトに密着してくるのがきもかわ☆)
流れるような素敵メロディーを神の声だと思い、嬉々として楽譜に書き始めるも・・・そうなんです。
モーツァルトの曲なんですよねこれ。

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先生渾身のノリ突っ込み。

勝算が見込めないサリエルはついにモーツァルトの家に忍び込んで楽譜を盗んでしまいます。
1か所も書き直した痕跡がない完璧な楽譜に、さらにジェラシー&絶望を感じる先生。(でも本当に素晴らしい曲だと思ってしまうがゆえ、捨てられずにジェラスに怒られる)
発表会当日、自ら書き上げた曲を披露するも、客席から「また似たような曲」「飽きた」などの陰口が聞こえるうえ、王様側からも「代わり映えしないけどいいんじゃない」という言葉がグサリ。(この曲が冒頭の輝かしい日々で演奏していた曲と同じなんですが、アンサンブルの歌詞が悪口になっているというひどすぎる仕様w)
一方モーツァルトは楽譜がなくてもどうにかなりますよ!と即興で王様をイメージした音楽を演奏します。
しかし正直でKYなモーツァルトは王様の「だらしない女性関係」をテーマにしてブチ切れられ、結果国中から総スカンを喰らうという超スピーディー没落を成し遂げました。あほw

そんなこんなで勝負はサリエル先生の勝利に終わり、誰からも相手にされなくなったモーツァルトは飲んだくれの日々に。
しかし勝ったといっても、モーツァルトの方が圧倒的に才能があることを誰よりも知ってるが故、さらに嫉妬に苦しむはめになります。
「もう殺すしかない!殺しましょう先生!」というジェラスたんのささやきにハヒハヒ。

そんなある日、アル中と精神疲労で死にかけのモーツァルトを見かねた奥さんが、サリエルのもとに助けを求めに来ます。
書き忘れてしまいましたが、モーツァルトの奥さんは最初に先生が好きだった教え子なんですよね!信頼してる先生に助けを求めに来たわけです。
自分が転落させた天才と初めて面と向かうことになったサリエル
弱り切ったモーツァルトが先生にあることを打ち明けるのですが・・・ここからはネタバレっぽいのでワンクッション!

 

 

モーツァルトサリエルが心配してくれてる(と思ってる)ことに喜んで、
「僕はあなたが嫌いでした。僕が持ってないものをいっぱい持ってて羨ましかったから。でも、誰からも理解されない僕の音楽をあなただけがわかってくれるんです。ありがとう。ありがとうございます・・・!」
なんて言うじゃないですか!ハメられてるのにお礼とかやめてえええーー!!(TT)
今までの世界がひっくり返るような告白に、サリエル先生も目見開いて驚いてますよ!
そしてさらに、モーツァルトのもとにも毎晩ジェラスが来ているという衝撃の事実が発覚します。なななななんですとー!!
ん!?ジェラスは実はみんなのジェラスだったの?それとも1人1ジェラスなの?酒場でモーツァルトに毒的なものもってたジェラスはどっちのジェラスなの??
とにかく自分は相手にもされてないと思い込んでたサリエルの目が、ここでやっと覚めます。
筆をとる余力もないモーツァルトのために、彼の歌うメロディーを楽譜に代筆する先生。このシーンのハーモニーが本当に綺麗で!あれだけ望んでた神の声を聞きたいという願いが、ここで叶えられているようでした。

「これで音楽の国に行けるかな・・・」という言葉を最後に息を引き取るモーツァルト
自分の嫉妬心が彼を殺したんだと、サリエルはジェラスともども消えるため、作曲用の羽ペンを自らの首に突き刺します。
倒れ込んだサリエルを悲しそうな顔で必死に抱き起こすジェラス。
熱心に先生のファンだって言ってたけど、それもサリエル自身なのかと思うと超絶切ない。
私が死んでも、みんなは私の曲を聴きつづけてくれるだろうか」という言葉に音楽に対する純粋な愛を感じました。
こんなに情熱をかけて努力もしてたのに、芸術は残酷だ〜!
2人が倒れこんだところでミュージカルは終わりますが、結局サリエルは死に切れずにまたいつ現れるかわからないジェラスに怯えながら生きてくんですね~。泣

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簡潔に書きたかったのにこのザマである。(ちーん)
はー!私的にかなりヒットでした!
観終わった直後というよりも、翌日起きた瞬間突然ドはまりした(なにそれ)
急展開が多かったり、盛り上がるシーンを連続させすぎてかえってメリハリがなくなっちゃってたり、まさかここで終わるんじゃ・・・おわっ、おわったー!!!\(^o^)/となったり、惜しい箇所もなきにしもあらずですが、まだ初演のみなのでこれからマイナーチェンジもあるでしょうし、今後さらに進化していきそうな作品だと思いました!いつか絶対に生で観たい!
それにしても日本で、しかも字幕付きで見られるなんて本当にありがたい話です。主催者さんありがとう!

サントラを買わないという選択肢はありませんでした。

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ジェラスたんのサイン付き!笑