国際線第99ターミナル

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日本と韓国のミュージカル観劇あれこれ

アランガ 2016/2/21ソワレ

書きかけレポ救出第2弾、ちょうど1年前に上演していた「アランガ」の感想です。

ネタバレしまくりなのでたたみます!

オリジナルミュージカル「アランガ」を観てきました。

時代はさかのぼること400年代、主人公は滅びゆくペクチェという国の王様ケロ王。

日々重圧に押しつぶされそうな中、運命の女性(だとケロ様は思っている)アランと出会い、大喜びしたのもつかの間、自分の家臣の妻だったことが発覚。権力を持ったストーカーと化したケロちゃんは力づくでアランを手に入れようとするも、強い絆で結ばれたアランとトミは死んでもなお引き裂くことはできなかった・・・そんな悲しいお話という印象を受けました。(あってるか不明)

【見どころ楽曲ポイント】

本作の見どころはとにもかくにも歌のど迫力っぷり!

ちょっと演歌っぽい?伝統音楽のメロディーを取り入れた癖のあるナンバーで、座席に埋まるかと思うほどの音圧・言葉の殴り合いやー!状態で吐露される感情、聞き終わった後はまるで台風一過。

特に中盤の「どうして泣かずにいられるか」の五重奏は、歌に圧倒されるあまり涙が出てしまうくらいの迫力。

ちなみにタイトルにもなっているアラン歌は1度聞くと1か月は離れない麻薬ソングです。アーラン、アーラン、アーラン、アーラン♪

【見どころ演出ポイント】

本作では登場人物が全員マイ扇子を持っていて、これで命や身体の一部等々、様々なものを表現します。

トミの目潰し刑では扇子を突き刺すと同時にトミが目を押さえて叫び、最後のシーンではケロ王が自分のセンスを真一文字に裂くことで切腹を表現。命を落とすと、その人物は扇子を床に置いて去っていきます。

kero.png

(多分ゲーム画面にするとこんな感じ)

【可哀想すぎるケロ王】

開演するや否や、緊迫した面持ちで舞台中央に正座するケロ王。

すでに涙で目がキュルキュル!

今にも国が崩壊するんじゃないかという、不安な気持ちから悪夢を見ているようです。

aranga1.png

みんなの冷たい視線を浴びながら殴られるわ蹴られるわ、絵に描いたような四面楚歌。

白いドッシリした着物を着てるにも関わらず、蹴られた勢いで床をズザーっと滑る姿はまるでキャッツ!

しかし夢の最後に必ずある女性が出てきて束の間の癒しタイム。

aranga2.png

いつも出てくるこの女性は誰なのか。

うっとり見おくりつつ目を覚ますと・・・

aran4.png

現実つらいwww

王様そっちのけでギャーギャー言い争う家来と、覇気のない顔で立ち尽くしてるケロちゃん

この5分だけで、ケロ王の立ち位置のつらたん具合がよくわかる秀逸なオープニングだなと思いました。

そんな人生どん詰まりのケロ王を中心に物語は繰り広げられますが、その可哀想さときたら思わずもうやめたげてぇぇ!!と地べたを転がりたくなるレベル。

以下、ケロ王の惨めさをより一層ひきたたせている3要素をご紹介します。

1、アラン、ケロ王に興味なさすぎ問題

→一国の王が我を忘れるほどゾッコンになってしまう魅力的な女性、アラン。

古き良き妻という感じで自ら前には出てこないものの、意志が強くて旦那一筋。王様という肩書があるのに、全然ケロ王の思い通りになりません。

あまりのなびかなさに思わず「もう無理だからやめよう?」と言いたくなります。

2、アランの夫、人間的にイケメンすぎ問題

ケロちゃんの家来であり、アランの夫であるトミさん。

ケロちゃんがヒステリーに取り乱し放題なのとは対照的に、常に落ち着き、目潰しの刑の直前でさえドシッと構えて正論を物申す姿はまさにイケメン!(イケてるメンタルの略)

しかしアランの前では可愛くデレるというギャップも完全装備。

観たのがユルトミとダヘアラン回だったのですが、身長差30センチくらいの2人が楽しそうに歌って踊るウリカヨAは、子供時代コロコロコミックしか読んでなかった私でも、キュン死にしそうになる少女漫画感がありました。

また、連行されてきたトミさんが、間に入って止めようとするアランに「やめなさい」と視線で制止するシーンがあるのですが、この無言の一瞬が本当にかっこいいんですよ。

客観的にみてもトミさんに軍パイがあがりすぎてケロ王には厳しい局面。

3、上記1、2の理由によりケロ王主役なのに影が薄い問題

そんな2人の強すぎる結束へのケロ王の入れなさ具合といったら、いくらホームの1番前で待ってても、どう頑張っても入れない満員電車しか来ないみたいな感じ。

軽率にイエスウィーキャンとか言えない。不可能。

アランとトミの物語が美しすぎて、王様なのに舞台の中心に出れない、そんなひたすら惨めなケロちゃんが苦悩して苦悩して苦悩のコントロールが効かなくなって自爆するまでを描いた作品がアランガになります。(本当かよ)

その他特筆すべき可哀想ポイントとしては

●唯一心を許してた物腰柔らかな雰囲気の曽呂、ドリムのおっちゃん。

そのドリムまで敵だったことが発覚した時の「??????(理解不能)」顔は、もし舞台にタイムボタンがあったら思わずアカーン!!と一旦止めたくなるほどの可哀想さ。ただでさえ真ん丸な目がさらに真ん丸に!

ジョンヨルさんドリムのいい人感ときたら、まさかの裏切りで衝撃でした!

●初めて現実世界でアランに出会ったケロ王。大興奮で大喜びするものの、家来の妻だということが体感2分くらいで発覚。ショックのあまり「あ、ごめん、体調不良。。」みたいな感じでおデコを抑えてヨロヨロ退場してくのですが、出会ってから傷心退場までのあまりのスピーディーさにちょっと笑いましたごめんw

●ケロ王に殺される最後の最後まで一緒に手を繋いでたアランとトミ。

命の象徴だと思われる扇子を床に置き、舞台後方に去っていきます。

しかしですよ、進行方向の真ん中にケロ王がいるんですよ。

一体どうするんだろうと固唾を飲んで見守った結果・・・

aran3.png

ケロ王を両脇から避けた後、再度手を繋ぎ直してました。

ケロ王の心境を思うと死にたいwwwww

【全体感想】

なんだかふざけた感想になってしまいましたが、上記のとおり救いのないストーリーなので、見てる最中からケロ王からのもらい胃痛が・・・!胃にキリキリくる生きツラ感。王の自分勝手な暴走といえばそれまでですが、暴走しちゃう気持ちもよく伝わってくるので・・・!

ピルソクさんの絶望のあまりまぶたが閉じ切らない絶望瞬きは神業だなと!

ストーリー自体は古典がモデルになっているせいか、2時間の公演時間で見るには若干のスカスカ感はありましたが、それを埋める熱演と熱唱と感情のビックウェーブで大変見応えがありました。

最後カーテンコールに入ってもケロ王立ち上がれなくて起こしてもらってましたからね!泣いてるし!

再演が合れば是非また見たいです。

最後に「どうして泣かないでいられるか」とケロ王が楽しそうな動画を2枚貼って終わります。

6分50秒くらいから歌スタート。どさくさに紛れて抱きつくケロ王w

アランとトミの反応の可愛いさと、その直後手を繋ごうとする2人を無意識で妨害するヒョンリョルケロ王の面白さ。

2分10秒あたり、自分の番が上手く歌えて嬉しそうすぎるピルケロ王。